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 北海道立総合研究機構 栽培水産試験場

 

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 「明日の降水確率は60%です。」「来週前半は広範囲で晴れるでしょう。」など、皆さんも毎日の天気予報を見られていることと思います。天気予報はときどき外れることもありますが、天候に合わせた服装の準備などの実生活で十分に役立っています。
 むかわ町では毎年10月からシシャモ漁業が行われてきました。天気予報と同じように、シシャモ漁業が始まる前に今年の漁獲量を大まかに予報できれば、効率のよい操業やシシャモの獲り過ぎの防止に役立つと考えられます。例えば、「今年はあまりシシャモが獲れないでしょう。」という漁業予報があったとします。このような予報の場合、鵡川河口にシシャモが集まる時期に短期間だけ漁業を行えば燃料代を節約できます。さらに、漁業者の皆さんが事前に集まって、「たくさん獲れる年」よりもシシャモ漁業を終える日を早めに設定することで、鵡川に遡上する親魚数を十分に確保できます。
 これらのメリットが期待されたことから、栽培水産試験場ではシシャモ漁業者の皆さんの協力を得て、シシャモ漁業が始まる前の5~6月と9月に漁期前調査を行い、その調査で漁獲されたシシャモの数量をもとに漁業予報を行ってきました(図1)。
 近年、シシャモは不漁が続いており、2023年からはシシャモ個体数を回復させるために、漁業者の皆さんの苦渋の決断によって、シシャモ漁業は休止中です。漁業予報を行ったとしても、予報を活かすためのシシャモ漁業が休止中であること、漁期前調査を行うことで鵡川に遡上するシシャモを少量ながら減らしてしまうことから、漁期前調査も2023年から休止中です。

 

図表

図1

町広報誌への掲載

 

 ・むかわ町広報誌2025年8月号(PDF/5890KB)