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 北海道立総合研究機構 栽培水産試験場

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 むかわ町の重要な漁業資源であり、観光資源でもあるシシャモを獲り続けていくためには、海の中のシシャモの状態を継続的にモニタリング調査していく必要があります。ほとんどのシシャモは1歳魚で大人になって、産卵のために鵡川を遡上します。しかし、近年のようにシシャモの個体数が減少すると、シシャモ同士で餌を奪い合う競争が少なくなるかもしれません。その結果、1尾1尾が十分な餌を食べられるようになって成長が早くなり、0歳魚なのに大人になれる個体が増える可能性や、例年よりも1歳魚が大型化する可能性が考えられます。

 栽培水産試験場では、毎年10~11月に行われるシシャモ漁業で漁獲されたシシャモを市場で購入し、長年にわたって体サイズと年齢の関係をモニタリングしてきました(図1、図2)。しかし、減少したシシャモの個体数を回復させる取り組みとして、2023年からシシャモ漁業が休止され、市場での購入ができなくなりました。そこで、2023年からは市場で購入する代わりとして、栽培水産試験場のモニタリング調査を継続するために、漁業者の皆さんの協力を得てごく少量のシシャモを漁獲する特別な漁業を続けています。
 この他にも栽培水産試験場では、超音波を利用して魚群の大きさを分析できる魚群探知機という調査機材を用いて、むかわ町周辺の海の中にどのくらいの数量のシシャモがいるのか、シシャモを漁獲せずに推定できる方法を開発する研究も進めています(図3)。シシャモの個体数の回復に向けて、今後も関係機関と連携して調査を継続していきます。

 

図表

 

図1

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図2

図2

図3

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町広報誌への掲載

 ・むかわ町広報誌2025年11月号(PDF/2448KB)